各事業本部
●ネットワーク環境のさらなる充実で地域の情報化に貢献
多くの情報サービス業が首都圏を中心に立地しているのに対して、電算は地方に拠点を置く総合情報サービス企業として代表的な会社である。その事業は高いシェアを誇る信越地区に限らず、「自治体に強い電算」として全国規模で展開され、すでに400以上の市町村にシステム導入を誇っている。1966年の設立以来、長野・新潟を基盤として幅広い顧客の期待に応えてきた。地域社会の情報文化に貢献するネットワーク環境のさらなる充実を目指している。
公共事業本部
■進化する総合行政情報システム「Reams(リームス)」
Reames.NET
公共事業本部は、1966年設立以来続いている弊社の主要事業だ。設立当初から大型コンピューターを持ち、市町村を対象とした計算センターを運営、納税通知書や台帳の一括処理を行ってきた。そして各市町村に端末を設置し、オンライン処理を行う総合行政情報システム「Reams」の稼働は1981年からだ。
その後、PCの出現に伴いクライアント・サーバーの構築をいち早く達成した。これにより、全国150の市町村から住民基本台帳を中心とした住民記録、税金関係、収納システムなどの基幹業務処理を受注したほか、これら住民サービス関連にとどまらず、内部情報管理にもクライアント・サーバの適応が可能になった。予算策定から、全庁的に執行を管理する財務会計システムも全国200の市町村に導入されている。そのほか、Windowsの上に自前のフレームワークを構築し、運用管理、ジョブ管理などを行い、その上でアプリケーションが共通的に稼働する総合行政情報システム「Reams」を提供してきた。健康管理システム、水道料金徴収システムなども財政的に多くのコストをかけることのできない小さな市町村の立場に立って、同一サーバ内により多くのシステムを収容してハード、ソフトのコスト低減を実現させた。他に見られない、電算ならではの「Reams」は、基幹業務120、財務会計200のほか、水道料金徴収90、グループウエア80、介護保険140といった導入実績を誇っている。ユーザの評価は極めて高い。介護保険システムは制度開始時から提供をしているが、自治日報社のアンケート調査でみても、システムの機能・サポートについて当社は高い評価をいただいている。さらに「Reams」はMicrosoft.NETの採用により、「Reams.NET」に衣替えした。市町村合併への対応、電子自治体とのインターフェース、システムのWeb化などさまざまな機能アップを行い、現在も進化している。
ビジネス事業本部
■地元密着型のビジネス展開そして高成長の医療・介護分野をリード
ビジネス事業本部は民間企業を対象とした事業を展開しており、業種別のソリューションと、業態別のソリューション、つまり垂直・水平型双方のサービスを提供している。業種別では、流通業の卸売業を中心とした地域VANやスーパーマーケット向けの受発注VAN、販売管理、および顧客管理システムなどを手がけ、県内の中小卸・小売の全般をカバーしている。今後は長野県を対象とし、地元密着型でインターネットやWebEDIを含めたサービスの提供と顧客データベース管理、市場分析、調査、データウエアハウスなどへ展開し、さらにIDCのセンターとネットワーク機能を有効活用できるメリットを生かし、流通業に特化したノウハウと併せ、サービスを県内全域に展開していく。
製造業向けには、中規模から大規模な生産管理システムを中心としたソリューションの提供に最近注力している。エプソン、オリンパスなどの関連優良企業にも採用されており、首都圏など県外企業に向けても培ったノウハウで、導入コンサルから運用・保守サービスまで幅広く製造業全般に対しサービスの提供を行っている。
報道関係は、関連会社が信濃毎日新聞社ということもあり、新聞協会賞を受賞した新聞社向けの広告管理、事務系システムなどを地方新聞社5社に提供しており、中央の新聞社を含め興味を持たれている。
金融向けは、リース会社のシステムに強みを発揮し、地元の八十二リースをはじめ浜銀ファイナンス、群馬総合リース、静銀リースなどを取引先とし、独自のノウハウにより、全国展開ができるレベルにある。また、受託サービス関係では給与システムのアウトソーシング、口座振替・引き落とし等をカバーする決済システム、総務関係ではグループウエア・ワークフローを独自開発し会計と人事給与就業を統合したシステムの提供を行っている。
さらには、IT化が注目されている病院情報システムがある。とりわけ国の補助の下、公立、民間を問わず病院でのIT化が進んでおり、2003年度も13システムの導入を果たした。この数年、順調に成長してきている。病院では従来、オフコンにより医事のみをコンピューター処理してきたが、現在、クライアント・サーバにより、オーダリングを含めたトータル・システムの構築に各病院とも取り組んでおり、さらに、電子カルテなどが導入される傾向にある。
競合の激しい分野であり、導入後のシステムの入れ替えなども頻繁に起きるが、導入後のフォローも地の利を生かし地元企業ならではの完璧なフォローを心掛けていることが評価につながっている。
一方、2000年度全国で一斉にスタートした介護の分野でも、長野県内で130のユーザを獲得した。これまで、電子カルテ化などが進む中、ユーザごとのサーバ管理を現地に出向いて行う必要があったが、今後はユーザのサーバを預かりハウジングからネットワーク管理などを共同で行えるIDC (Internet data center)サービスへの転換を計画している。すでに、SDCを設置済みで、免震構造や侵入者を防ぐ建物の構造はもちろん、本社に近いため、技術者による即時の完全フォロー体制を敷くことが可能である。電算はこのSDCを地方第1号のデータ・センターとして活用し、ASP(Application service provider)サービスの提供を目指している。
また、独自の県域高速バックボーン回線を構築し、病院―診療所間の連携や規制緩和後、電子カルテの共同利用システムの運営などを狙いとしている。
電算SDC(データセンター)
■高度なセキュリティーを提供する電算SDC
SDC
インターネットの普及により、情報サービス事業は大きな変貌を遂げつつあるが、なかでも重要性を増しているのが、セキュリティーの問題だ。電算は顧客から任されたシステムを24時間、365日保護し、安全かつ効率的に運用するために、2003年に電算SDCを建設した。
建物は震度7クラスの地震にも耐える全面免震構造を採用し、高度なセキュリティーのもと、24時間運用でサーバを預かるハウジングサービスをはじめ、サーバ機器を共同利用するホスティングサービス、インターネット上のディスクを提供することで、さまざまな端末からアクセス可能なストレージサービス、さらには行政などで必要なシステムや個別の業務システムを共同利用するASPなど、柔軟に対応している。このほか、重要なデータの分散保管庫の提供、映像・画像の配信サービス、IPフォン、IPテレビ電話、IPテレビ会議などのコンサルテーションも提供している。
インターネットサービスプロバイダ
■広域なインターネットサービス「avisネット」
電算の事業の中で企業、団体のみならず個人にも提供しているサービスが、1995年から長野県で初めてインターネット商用サービスを開始した「avisネット」だ。
このインターネットサービスプロバイダ事業は、今期からモバイル系のサービス、つまり、携帯電話など移動体との通信サービスを充実すべく、AirH”、 Packet One、@FreeD、Mフレッツなどモバイル系の全サービスに対応したほか、サービスエリアの拡大を図った。フレッツ対応サービスは、長野県内だけでなく、NTT東日本のエリア、すなわち北海道から関東までをカバーした。さらに、県内企業の海外進出が盛んであるため、ユーザの出張などにも対応できるよう海外ローミングサービスも充実させた。
電算は、きめ細かなサポートと総合サービスの提供で、高い評価を得ている。同社の強みは、公共向けドメイン申請が国内2位であったことからも分かる。特に従来からのビジネスで強みを発揮している自治体ユーザが新たにサーバを立ち上げた時に、当社がすべてを手配するケースが多い。通信技術者を自社に抱えており、総合的なサービスの提供が喜ばれている。
また、データセンターを保有しているため、インターネット上位接続線は1回線分を冗長化接続のために残して、BGP(Border Gateway Protocol)と呼ばれるプロトコルによる自動経路制御を行っており、高信頼性の接続を実現しているのも大きな特長である。